2008年8月15日金曜日

健康祈願

 

たったひとつだけ願いが叶うとしたら、何をお願いするだろうか。

才能だろうか。お金だろうか。


私の答えは、決まっている。

健康、である。

 

…と、こんな事を書くと、重い病で入院でもしてるのかと心配されそうであるが、別にそういう訳ではない。
確かに、子供の頃から身体は弱く、現在も少々メンドクサイ持病が、あるにはある。
しかし人よりほんの少し気をつけて、折り合いをつけて生活していれば、深刻な状況になることはあまりない。
まあ、なんだかんだと云いながら結構長生きしそうな、ちょっと鬱陶しいタイプであろう。

 

しかし、病気というのは、なんとなく心を孤独にさせるものではある。

大袈裟に云えば、自分だけが世界から取り残されているような、ポツーンとした気持ちになる。
「ああ、自分がいなくても世界は何も変わらずに回っていくのだなあ…」というような感じ。
そりゃ、自分がいなければ回らない世界だったらそれはそれで責任重大すぎて困るが。
元気な時はそんな事当たり前と思ってるのに、調子が悪くなると「ああ、自分が…」のループにハマったりする。
確かに我ながら鬱陶しいタイプだと思う。

実際、周りの人にしたって、身体が弱いというのは、やっぱり気を遣って下さるワケで。

気を遣わせたり迷惑かけたくないなあと思うあまり、人様との付き合いが悪くなったりする。
自分から人を避けておきながら、やっぱり寂しくなって「ああ、自分が…」のループにハマるのだから、もう本当に始末におえないのです。
病気がどうのというより、性格に難があるのでしょうか。

命にかかわる程でもなし、私の持病など文字通り「少々メンドクサイ程度」のものであると思う。

 

それでもやっぱり、ひとつだけ、と言われたら、「健康」なのである。

 

 

ベットミドラー主演の、「Beaches」という映画がある。

BEACHES
BEACHES

私はこの人のファンで殆どの出演作を観たと思うが、おそらく一番ハマリ役の主演作ではないだろうか。

日本で知られているタイトルは「フォーエバーフレンズ」で、こっちだと「ああ、アレ!」と思い出す方は多いのかもしれない。(しかしこっちのタイトルだと確かに内容はわかりやすいのだが、ちょっと口に出すのが照れくさい。なんとかしてほしい。)

 

そのちょっと照れくさい題名が示すように、ズバリ、女の友情物語だ。

ちょっとガサツな性格の才能あるけど売れない歌手(もちろんこっちがベットミドラー)と、才色兼備で良家の令嬢で優秀な弁護士(こっちはバーバラハーシー)の、三十年に及ぶリアルな友情を描いたお話である。(ちなみにこの人物表現は私の勝手な主観ですが、性格も境遇も異なる二人の話と云う方が手っ取り早いですね)

確かに、泣きました。「Wind Beneath My Wings」が流れるアノ場面で、泣かない人がいようか。

しかし私がこの映画を思い出す時、それは「友」に思いを馳せている時ではなく、「健康」について考えている時なのだ。

 

(↓以下ネタバレ)

 

 

自分の身体が深刻な病に冒された事を知ったヒラリー(バーバラハーシー)は、娘の将来を親友に託したいと、ひとり決意する。
なかなか打ち解けない友と娘をなんとか仲良くさせようと、静養先の浜辺で、ある期間を共に過ごす。

その中で彼女が、「母親の手」を思い出せなくて、昔の写真を探す場面がある。

娘に、ママの手と私の手は似てる、と云われたあと、何かに取り憑かれたように、自分の母の写真を探すのだ。

自身が幼い頃に亡くした母の手を、「思い出せない」のが恐ろしいと云って。


私が最も、心に残っている場面だ。


友と娘が心を通わせる日を誰より望んでいた筈の彼女は、娘が友と浜辺で仲良く歌っているのを見て、友に云う。

「あなたと娘が一緒にいるのがいや。力強く楽しい人と。」

 

私の一番望むものが「健康」なら、一番怖れるものは何だろうか。

彼女が恐れたものと、とても似ているような気がする。

 

 

話は前後するが、前半、売れないクラブ歌手だったCC.ブルーム(ベットミドラー)が酒場で歌っている歌がとても好きだ。

もちろん英語の歌なのだが、うーん…「健康だけが取り柄の自分を自虐的にコミカルに歌った歌」とでもいおうか。

「♪顔は財産っていうけどーだから私は文無しなのねえ~(中略)
宝石もないしお金もないし男もいない~でもまあ、健康だから♪
みたいな歌である。

「Wind Beneath My Wings」や「The Glory Of Love」、「I Think It's Going To Rain Today」など名曲揃いのこの映画の中で、よりによって私が一番好きな歌がコレ。
この歌をフルコーラスで聞きたい、という理由でサントラも買った。
サントラ購入者の中ではかなり珍しい理由であろう。

ベットミドラーがまた、大変失礼ながら、こういう歌を歌わせたら世界一の歌手である。


後年、CC.ブルームは歌手として大きく花開くのだが、映画を二度目に観たとき、このコミカルな歌を歌う一見軽い場面が、深い意味を持って胸に迫ってきた。思えば見事な伏線だったのだ。

 

彼女は、歌の才能という宝石の他にもう一つ、素晴らしい宝石を持っていたわけだ。

 


私が欲しい宝石は、つまり彼女が持っていた宝石である。

ただ、この宝石の欠点は、持っている時はそれが宝石だと気付きにくい点である。

失ってみて初めて、宝石だったと気付く事が多いのが難である。

 

時々失くしてしまう私は、それが宝石だということを、ちゃんと知っている。

それでいて、また時々、失くした欠片をヒョッコリ拾ったりもしている。


ひょっとしたら私は、とても幸運なのかもしれない。

 

 

本日の一曲:「I've Still Got My Health」 Bette Midler

I've Still Got My Health …
かなり自虐的な事を明る~くコミカルに歌っているが、
明るく歌えば歌うほど却って周りを沈黙させそうな歌である。
この歌詞にマッチするタイプの方が目の前で歌いだしたら、
きっと、どうコメントしていいかわからなくて困るだろう。

あまりにも映画の主人公にハマっていたのでオリジナルだと思いこんでいた。
が、洗練された歌詞といい、小憎らしいほど粋なメロディといい、
映画のワンシーンのために作ったにしては名曲すぎるぞ…
と思って調べてみたら、やっぱり原曲があった。
往年のブロードウェイミュージカルの女王Ethel Mermanの持ち歌だったそうな。
この方のバージョンもぜひ聞いてみたい。 

 

ちなみに下の映像の歌は「Wind Beneath My Wings」

仮にもBeachesの事に触れておいて、この歌を無視するワケにはいくまい。
映画の彼女に比べると、グンと年季と貫禄が増したように見受けられるので
比較的最近のライブと思われる。

しかし、さすが歌唱力も魅力も健在。
最近映画の方ではあまり見なくなってしまって寂しいので
またコメディエンヌとしての、お茶目な彼女に会いたいなあ。

  

 

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